2014年7月23日水曜日

世界資本主義の暴走

IMFは六月十八日、六・七億ドルの支援に合意したが、これだけで十分だとは考えられていない。そしてロシアへの連鎖は、ロシアへのエクスポージャーが最も多いドイツへとつながる。また、混乱が中国・香港からアジア全体に再び拡がるとなると、アメリカ企業も大きな影響を受けることにもなる。すなわち円安問題は、香港・中国への直接的な連鎖等を通じて、全世界的影響をもたらす可能性があるわけなのだ。

たしかに日本だけの問題としてみた場合、円安にはプラス面と、マイナス面があり、場合によると円安がプラスであると立論することは可能である。しかし、円安のグローバルなインパクトを考慮すると、そのマイナスは極めて大きく、他国への悪影響は間接的に日本に跳ね返ってくる可能性が大きい。それはいままでいわれていたような他国との、特にアメリカとの通商摩擦というだけではなく、新興市場国、そして最終的には先進国を含む国際金融システム全体のバランスの破壊ということをもたらす可能性を含んでいる。

国際金融市場のバランスは、すでに九七年夏以来のいわゆるアジア危機で相当崩れており、大量の資金がアジアから欧米に流れ、欧米の市場はかなりバブル的様相を示しはじめている。それに円安を起点とした第二ラウンドが加わると、システムの歪みはもはや維持できなくなるところまで進む可能性があると考えられているのである。

グローバル化し、しかもヴァーチャル化した現在の世界資本主義は、巨大かつ速い資本の移動にゆさぶられ、その不安定性を急速に増してきているということができるのであろう。たえまなく流れる情報を種にコンピュータを通じて取引されるグローバルな金融市場では、ポジティブなフィードバックがかかりやすく、価格は常にオーバーシュートする可能性がある。

2014年7月9日水曜日

ムラおこし発祥の地

この会社にも課題がある。Uターンさせるためには社員を増やさなければならない。しかし多すぎると経営を悪化させる。そこで生産とは別に、流通対策に取り組んだ。作れば売れるがそれも今だからこそだ。すでに、東南アジアから安価なエビが入るようになり、これは将来増え続ける。品質的には競合しないが、いずれ姫島の市場を脅かしていくに違いない。そこで販売部門だけを別会社にした。

六三年六月に設立した姫島商事株式会社は従業員五人で、車エビの販売と広告企画を一手に引き受け、とくに贈答用商品のPRに力を入れている。さらに、近い将来、東京営業所の設立も検討されている。

「田舎であればあるほど、地元の産業は雇用を重視しなければならない。従業員が少なくて済むハイテク産業よりは水産業の方が雇用促進の効果がある。だけど、田舎だけにいては刺激も少ないし、知識も身につかない。学校を出たら都会で働く、人に使われる経験をしてUターンしてほしい。営業マソの採用も計画してトるので、大都市相手に営業できる度胸のいい人、そして標準語のできる人を募集しています」藤本昭夫、四七歳。姫島村村長、兼姫島車えび養殖株式会社常務取締役の挑戦が続く。

農業と温泉の町、湯布院町は大分県の中央部にあり、人口一万二〇〇〇人。どこにでもありそうな、ごく普通のこの町に年間三〇〇万人もの観光客が訪れている。とりわけ、週末には肩からポシエットを下げたギャルやOLがかっ歩する。にぎわいは西の軽井沢だ。
 
ここも大山町と並んでムラおこし発祥の地。外に向かって明快なイメージを訴え、内に向かっては外のイメージに近づけようと意欲を燃やしつづけてきた。何もない町でどう生きるか。いや、何もないことはない。血気盛んな経営者たちを中心にした「人」がいた。したたかな湯布院のムラおこしは、「人」から始まった。