裁判制度を動かしているのは、政治家ではなくて、法律家であるのは確かです。しかし、法律をどういう内容にするかは民主的に決められるわけで、それは基本的に政治家の仕事です。私のような弁護士がとやかくこんな主張をしていること自体が、ちょっとズレているかもしれないわけで、日本の政治の貧困の象徴のような感じさえします。
政治家には、しっかりとした法律を作ってもらう必要があります。単に「権利」を作ってもらうだけでは不十分で、その手続や実効性をしっかりと確保する方法まで含めて、がっちりとしたものを作ってもらわなくては無意味です。
お金を貸すとき、しっかりとした金融機関は担保を取ります。それと同じように国民も、ちゃんと法律が守られるような担保を取らないといけないのです。国民の立場からしっかり担保を取っておかないと、結局「不良債権」と同じような、あまり機能しない「不良な法律」がはびこることになってしまいます。
その担保にあたるのが「効果的な手続」というものであって、もう少し具体的にいえば、使いやすい窓口、権利を実行するための人や組織、あるいはそれらを裏付ける予算措置が備わっているということなのです。
単なるアドバルーン的な、「絵に描いた餅」のような法律はもうお断りだ、というつもりで、国民も厳しくチェックしていく必要があると思います。制度に問題かおるなら、国民が声をあげて法律を変えさせるところまでやらないとダメなのです。
これからの日本の政治家には、是非その上うな点に配慮した改革をやっていただきたいものです。口先だけで「絵に描いた餅」をいくら作っても、あるいは一時的にお金をばらまくような人気取りをいくらやっても、盲六の構造改革は進みません。