カーネギー審議会はこれとは対照的な未来図を示してみせる。カーネギー審議会の明るい予想(楽天的予測)によれば、未来は次のようなものになるという。
・(青年人口の減少にもかかわらず)在籍学生数はそれほど低下せず、せいぜい二五~四〇パーセソトどまりであり、成人学生や外国人学生が一八~二一歳人口の減少分を補充することになる。
・資源が入手し難くなり、授業料が上がっても、政府の援助は現状と変わらず続くと予想され、在籍学生数はそれほど減らないだろう。
・高等教育は上昇するGNPのうちの現行(一九八〇年時)のシェア(二・五パーセント)を維持するに十分な活力を持ち、学生援助はゆたかで、雇用状況は良好となり青年の大学進学を促進し、学生数は減るどころか、むしろ上昇する。
・量的拡張の終息は大学に質の向上に取り組むことを可能にし、教育、研究、サービスの向上のための時間と余裕を与えることになる。
・学生は質の高い教育を求めており、賢明な消費者であるから、良い大学や良い教育プログラムを選び、良い就職を見込まれる世代となる。
・政府は高等教育への内部介入には自制力を発揮するだろう。
・私学は強靭な力を持ち、政府も私学援助を高め、潰れるのは弱小な大学だけとなり、そのことがかえって高等教育全体を強化する結果になろう。
・大学はこの時期を二一世紀の必要性と挑戦に対する組織化と理念を打ち立てる時期として活用するだろう。
・新しいテクノロジーは古い教育方法の補充とはなっても、従来の大学教育に全面的にとって代わることはない。
・アメリカは全体として新しい活力を回復して上昇の波に乗り、高等教育はこの上昇運動の中心となる。
カーネギー審議会が描いてみせたこの明暗二つの未来は、現実にはどのような帰結になったのであろうか。どちらの予測が一年後の未来を射当てたのだろうか。私はこの問題に一九八〇年以来切実な関心を抱きつつアメリカ高等教育の流れを追跡してきた。一九八二年、八四~八五年、八八年、八九年の渡米の機会には、その結果を自分の眼でも観察してきた。この書物では、アメリカの大学がこの《冬の時代》にどのように対決してきたかをこれまでの観察と研究の結果をふまえて明らかにしていきたい。しかし一九八〇年代のアメリカ高等教育を語るためには、そのまえに大学という社会制度の成り立ちを、歴史と比較の視点からふりかえってみる必要がある。
2013年12月25日水曜日
2013年11月7日木曜日
インド人青年の精神の向上と団結力の強化
こうした状況の中で、ヒンドゥー・ナショナリズム運動は急激な拡大を遂げている。さらに、パキスタンとの軍事的な緊張状態は、九・一一テロ事件以降、急速に高まっている。このようなインドの現状をどのように見ればよいのか? 本書では、現代インドの動きを、現地での草の根レベルから明らかにしていくつもりである。インドの街の朝は実に騒々しい。早朝にもかかわらずヒンドゥーのお寺は大音響で宗教音楽を流し、さらにスピーカーを使い最大のボリュームでマントラを唱えている。車はクラクションを容赦なく鳴らし、オートリキシャーはけたたましいエンジン音をたて、野良犬は吠え、物売りは大声で何やら叫んでいる。すがすかしい朝とは程遠い。
そのような中、公園や空き地のようなオープンスペースでサフロン色の旗を立て、その旗の前で整列や行進をしている一見奇妙な集団がいる。それかRSSのシャーカーだ。RSSとはヒンディー語のRashtriya Swayamsevak Sangh(ラーシュトリーヤースワヤンセーワクーサング)の頭文字をとったもので、日本語では「民族奉仕団」と一般に表記される。インドはとにかく頭文字をとって略すのか好きな国である。新聞を読んでいても略表記のオンパレードで、その団体かどういう組織なのか理解するのに時間がかかる。政府機関もこのような略称で表記されることか多く、何の略なのかを理解するのか大変だ。しかも、それか英語の略であったりヒンディー語の略であったりとパラパラで、外国人の我々にとっては、逆にややこしいことか多い。RSSもその例に漏れず、頭文字をとった略式で表記されこう呼ばれている。
このRSSは一九二五年にへードゲーワールという人物によって設立された団体で、インド人青年の精神の向上と団結力の強化を目標として設立された。この団体はインド・パキスタンの分離独立の際に生じたヒンドゥー難民の救援活動を積極的に行なったことにより多くの支持を受け、急速にメンバーを増やした。その後、一時は非合法化されたものの、着実にメンバーを増やしつづけ、今ではRSSが設立したBJP(インド人民党)はインドの中央政界の与党にまでなった。現在の首相であるヴァジパイーや、現在の内相で次期首相候補の筆頭であるアドバーユーは、RSSか輩出した人物である。RSSの現代インドにおげる影響力は計り知れないほど大きい。
そのようなRSSの活動の中心と位置付げられるのが、シャーカーである。シャーカーというのはヒンディー語で「支部」を意味する語であるか、RSSでこの語を使う場合、地方組織や各地の事務所を指すのではなく、朝夕に行なわれる末端のトレーニングのことを指している。このシャーカーは、インド全土で三万か所以上もあるとされる。私は主に、序章で述べたアヨーディヤーと首都デリーにおいてこのシャーカーを調査してきた。では、まずこのシャーカーで、どのようなことを行なっているのかを、ざっと見てみよう。一回のシャーカーは、通常一時間ほどである。参加者はそれぞれ各地によって違うか、概ね二〇人から三〇人で構成される。また、多くのシャーカーでは年齢別にグループ分けをする。シャーカーの中心となるのは若者グループで、一〇代半ばから二〇代半ばの青年を中心としたメンバーで構成される。他にも六〇歳以上の老人で構成されるグループや、子供ばかりで構成されるグループもあり、青年グループとは若干異なるプログラムを行なっている。
参加者の中にはムッキヤーシクシャークと言われる教育係が一人とガタナーヤクと言われるグループリーダーが数名いる。シャーカーに参加するメンバーは原則として、カーキー色のシヨードパンツに白いシャツという制服を身に着けることになっている。シャーカーは、教育係の笛の合図と共に全員が整列し、サフロン色の旗を立てるところから始まる。この立てた旗に対して、参加者は、胸に手をあて、背筋をピンとのばし、一礼してRSSのメンバーであることの誓いを行なう。これは軍隊か国旗に向かって敬礼するのに似ており、とてもいかめしい印象を受ける。その後、「回れ右」「右向け右」などの号令に合わせて整列の練習をし、その整列した状態から行進の練習に移る。場所によっては、さらにランニングをするところもある。
そのような中、公園や空き地のようなオープンスペースでサフロン色の旗を立て、その旗の前で整列や行進をしている一見奇妙な集団がいる。それかRSSのシャーカーだ。RSSとはヒンディー語のRashtriya Swayamsevak Sangh(ラーシュトリーヤースワヤンセーワクーサング)の頭文字をとったもので、日本語では「民族奉仕団」と一般に表記される。インドはとにかく頭文字をとって略すのか好きな国である。新聞を読んでいても略表記のオンパレードで、その団体かどういう組織なのか理解するのに時間がかかる。政府機関もこのような略称で表記されることか多く、何の略なのかを理解するのか大変だ。しかも、それか英語の略であったりヒンディー語の略であったりとパラパラで、外国人の我々にとっては、逆にややこしいことか多い。RSSもその例に漏れず、頭文字をとった略式で表記されこう呼ばれている。
このRSSは一九二五年にへードゲーワールという人物によって設立された団体で、インド人青年の精神の向上と団結力の強化を目標として設立された。この団体はインド・パキスタンの分離独立の際に生じたヒンドゥー難民の救援活動を積極的に行なったことにより多くの支持を受け、急速にメンバーを増やした。その後、一時は非合法化されたものの、着実にメンバーを増やしつづけ、今ではRSSが設立したBJP(インド人民党)はインドの中央政界の与党にまでなった。現在の首相であるヴァジパイーや、現在の内相で次期首相候補の筆頭であるアドバーユーは、RSSか輩出した人物である。RSSの現代インドにおげる影響力は計り知れないほど大きい。
そのようなRSSの活動の中心と位置付げられるのが、シャーカーである。シャーカーというのはヒンディー語で「支部」を意味する語であるか、RSSでこの語を使う場合、地方組織や各地の事務所を指すのではなく、朝夕に行なわれる末端のトレーニングのことを指している。このシャーカーは、インド全土で三万か所以上もあるとされる。私は主に、序章で述べたアヨーディヤーと首都デリーにおいてこのシャーカーを調査してきた。では、まずこのシャーカーで、どのようなことを行なっているのかを、ざっと見てみよう。一回のシャーカーは、通常一時間ほどである。参加者はそれぞれ各地によって違うか、概ね二〇人から三〇人で構成される。また、多くのシャーカーでは年齢別にグループ分けをする。シャーカーの中心となるのは若者グループで、一〇代半ばから二〇代半ばの青年を中心としたメンバーで構成される。他にも六〇歳以上の老人で構成されるグループや、子供ばかりで構成されるグループもあり、青年グループとは若干異なるプログラムを行なっている。
参加者の中にはムッキヤーシクシャークと言われる教育係が一人とガタナーヤクと言われるグループリーダーが数名いる。シャーカーに参加するメンバーは原則として、カーキー色のシヨードパンツに白いシャツという制服を身に着けることになっている。シャーカーは、教育係の笛の合図と共に全員が整列し、サフロン色の旗を立てるところから始まる。この立てた旗に対して、参加者は、胸に手をあて、背筋をピンとのばし、一礼してRSSのメンバーであることの誓いを行なう。これは軍隊か国旗に向かって敬礼するのに似ており、とてもいかめしい印象を受ける。その後、「回れ右」「右向け右」などの号令に合わせて整列の練習をし、その整列した状態から行進の練習に移る。場所によっては、さらにランニングをするところもある。
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