2015年12月14日月曜日

訴訟を起こすということの覚悟とは

そのため、多くは依頼者自身の記憶をたぐって、「あの時どうだったかちょっと思い出してください」という話になります。昔のおぼろげな記憶でも、とにかくご本人にがんばってひっぱり出してきてもらい、複雑で細かな事実関係をなるべく分かりやすく整理して「陳述書」といった文書を作ります。

そうした作業を事前に集中してやるわけですが、それが訴訟の非常に重要なポイントになります。古い写真とか手紙などがあれば、それは宝物のような証拠ですから、そういうものも徹底的に探してもらいます。そういうものがないとか、捨ててしまっている人は、裁判で有利になることが難しいといえます。

つい先日も、証拠集めの作業を最初からかなりのペースでやったことがありました。ところがその依頼者は、「ものすごく疲れました。もうやめます」と言って途中で下りてしまいました。「少しやりすぎたかな」とも反省しましたが、微妙なケースだったので徹底的に洗っておく必要があったのです。

こうした難しい訴訟では、ご本人に余程ふんばってもらわないと、これから長く続くことになるかもしれない厳しい闘いをやりぬけません。訴訟は、長丁場も覚悟しなければなりません。「少々の苦痛は堪え忍ばなければ、裁判に勝つ資格はない」ということなのでしょう。