2015年5月19日火曜日

収益重視の経営にシフトする

アメリカのマネーセンターバンク銀行と日本の都銀、長信銀、信託銀行の総資産に対する当期利益率の推移を示している。ジャパンマネー全盛のバブル期も含めて、日本の銀行の利益率がアメリカのそれよりはるかに低いことが一目でわかる。邦銀は低い自己資本比率で、薄利多売型経営をおこなってきたのである。だが今や銀行も、他の企業と同じように、収益重視の経営を掲げて、大幅なリストラを進めている。支店の大幅削減と人員の削減という、戦後銀行界が経験しなかった事態が進行しているのである。

都銀11行は93年度から3年間で、15万人ほどの従業員総数の約7%にあたる1万人を削減する計画を実行しつつある。それも新規採用の抑制や出向にとどまらず、退職金割増制度導入などによる、女子行員を筆頭とする早期退職促進を含む厳しいものである。都銀全体で約3500店ある店舗数(出張所を含む)も、すでに93年度に、その約3%にあたる101店舗が閉鎖されている。

銀行だけではない。株価の急落・低迷に直撃された証券業界でも、全従業員数は91年6月末のピーク時と比べて、93年6月末では、なんと約16%も減少し、14万人台を割り込み、バブル期以前の状態に近づきつつある。支店数もピーク時の2576ヵ所から約8%も減少し、営業所も、27%の減少となっている。従業員数については、むしろ、人が減りすぎて人員合理化の「量から質への転換」・・・つまり管理部門から営業部門への配置転換などに取り組まなければならないほどである。

こうした厳しいリストラは、中小金融機関では合併による再編という形で進んでいる。信用金庫の合併は80年代後半には2件にすぎなかったが、90年以降で26の信金が消滅、93年度だけでも7信金が消滅し、94年3月末現在では428信金となっている。信用組合では92、93両年度で14信組が消滅し、同時点で383信組となった。